前文で、World Palm Proliferation Society なるへんちくりんな名前の表題で、世界中のヤシを集めるんだと、述べたが、なぜ、ヤシなんだという点を疑問に思う人のために、多少説明が要るだろうと、所見を述べたい。ヤシは、世界中に2000種を超える、一大種属である。主としてアジア、太平洋地域、アフリカ、南北のアメリカの熱帯・亜熱帯地方に分布しているが、沖縄特産の「ヤエヤマヤシ」のように、その容姿は素晴らしく、チャーミングである。第一の特徴は、下枝を張らない、そのすっきりした清々しい姿である。下枝が茂っていると、特に沖縄ではハブや鼠族昆虫繁茂を懸念して、忌み嫌うのだ。だから、屋敷内では、伐採、剪定がしきりに行われ、その余波を受けて、街路樹までもしきりに丸坊主にされてしまう。第二の特徴は、幹が決して折れないこと。直立した幹の中には、何万本という強靭な繊維が縦に束ねられ、しなることはあっても、ポキッと折れることはまずない。おれるのは、なにか病害虫に犯されているか、人為的に処置された個体だろう。第三の特徴は、その豊かな樹冠。羽のような大きな葉は、風を受け流して、決して断裂しない。根から吸い上げた水分は樹幹を経て、葉に届けられ、葉が裂けても、その縦に保障された葉脈を通って、末端まで水分が補給される。千切れても枯れない。まるで、ウチナーンチュのようなしぶとさである。第四の特徴は、樹下に影を固定しないこと。朝日は、はるか西側に影を落とし、真昼には直下に、夕日は、遥か東側に影を移す。そのため、農作物に、日蔭を固定しないのだ。その他、特徴を上げたら、日が暮れる。だから、そのあとは、次の欄で。アディオス。