沖縄県立首里高等学校:49期 掲示板

No.266 二重被爆者、汚染米、公安庁機密文書

2011/01/21(金) 17:38 - 3-8 組 M ()
 今回はこういう本を紹介します。

×月×日
 二重被爆者という人々がいることをロバート・トランブル『キノコ雲に追われて』(あすなろ書房)で
初めて知った。二重被爆者とは、広島で被爆した後に長崎で再び原爆被害に遭遇した人々のこと
である。
 これまで私は、どちらかといえば被爆者の証言本は敬遠してきた。情緒に流されることが嫌だっ
たからだが、この本は、著者のトランブルの文章と九人の証言者達の語り口のどちらも抑制的なの
で、黙々と読み進むことができた。おそらく、トランブルが米国のジャーナリストだったことで、取材
する側も取材される側も、お互いに感情を抑える結果になったのだろう。
 証言者ごとに被爆体験は様々だが、広島で出勤途中に被爆し、自宅に残した新妻を亡くしたヒ
ラタケンシさん(この本では、本文中の登場人物の氏名はカタカナで表記されている)の証言が、私
にはもっとも強く印象に残った。
 自宅は跡形もなくなっていたので、ヒラタさんは、空襲で焼け出された時に落ち合うことにしてい
た場所に向かったという。しかし、いくら見回しても妻の姿がない。
「もうどうしようもなくなって、『セツコ! セツコ!』と大声で呼びました。すると『ここにセツコさんが
いるよ!』と返事がかえってくるではないですか。うれしくなってとびあがり、その声のほうに走って
いきました。でも、ぬかよろこびです。妻と同じ名前の別の女性でした」
 一抹の不安を覚えながらも、妻が戻ってくるかもしれないと、その夜は自宅の焼け跡で過ごした
という。
「朝の四時ごろだったと思います。だれかに棒のような物でつつかれて目がさめました。目をあける
と、五、六人の兵隊にかこまれていました。兵隊は担架をもっています。ひとりが『見ろ! 生きて
いるぞ!』といって、『だいじょうぶか』ときいてきました。
『ここはわたしの家です。会社からもどったら、ごらんのとおり、なにもかもなくなっていました。妻が
死んでしまったのではないかと思い、夜のあいだここにいっしょにいることにしたのです。ねていた
だけです』
 そう答えると、兵隊は『気の毒にな』といって、去っていきました」
 その後、妻が亡くなったことを確認したヒラタさんは、焼け跡から妻の遺骨をかき集め、郷里の長
崎に帰り着く。ヒラタさんが二度目の原爆に遭遇したのは、実家で原爆の威力について話し始めた
矢先のことだったという。
「そのとき、記憶に新しいあの金色の光がまたしても目の前で光ったのです。両親に向かって大声
でさけびました。
『この光だ! ふせて!』
 すぐにあのすさまじい爆風と爆音が追いかけてくる。わたしは身がまえました。だが広島のときほ
どひどいものではありませんでした」
 幸いにも実家が山陰にあったため、爆風と熱波の直撃が避けられたのだという。めちゃめちゃに
なった実家を片づけ、ヒラタさんは妻の実家に遺骨を届けに行く。その時のヒラタ[平田研之]さん
の胸中は察するに余りあるものがある。読んでいて痛々しい思いがした。

×月×日
 吾妻博勝『コメほど汚い世界はない』(宝島社)を読めば、コメのメシが喉を通らなくなることは確
実だ。
 魚沼産コシヒカリといえばブランド米として知られる銘柄だが、コメの流通市場で取引されている
「魚沼産コシヒカリ」の量は、新潟県で実際に収穫される魚沼産コシヒカリの三十倍の量になるとい
う。要するにほとんどが偽物なのだ。もしも魚沼産コシヒカリという触れ込みのコメを食べている人
がいたら、自分が口にしているのは魚沼産コシヒカリではないと考えた方がよさそうだ。
 著者によれば、「安ゴメを高級ブランド米に、輸入米を国産米に、あるいは汚染米を一般米に、
有機栽培米にといった、マネーロンダリングとそっくりの偽装行為、つまり『ライスロンダリング』が行
われている」という。
 ある卸業者などは、「新米に古米を1粒も混ぜない業者がいるなら是非、顔を見たいものだ。上
手にブレンドすれば、そっちのコメのほうが旨いと言う人もいるんだからさ」と言い放つ。この業界が
本当にどうしようもないことがよく分かる。
 新米に古米を混入するのはまだいい方で、線路米という隠語で呼ばれるコメの話などは本当に
ひどい。鉄道の線路脇にある田んぼから収穫されたコメの中で、除草剤に汚染されてしまったコメ
のことを線路米という。なぜそんなコメが出てしまうのか。線路の周辺に雑草が生えてくるのを防ぐ
ため、鉄道会社が大量の除草剤を散布するからだ。散布直後に雨が降ったりすると、洗い流され
た除草剤が線路脇の田んぼに入ってしまうことがあるという。当然、汚染されたコメは売り物にはな
らない。
 ところが、悪質な農家になると、鉄道会社から補償金をせしめておきながら、汚染された線路米
を収穫して出荷してしまうケースがあるという。汚染米と知りながら買い付ける業者もいるから、農
家にとっては儲けが増えるという訳だ。恐ろしいことだが、本当は流通させてはいけないこうした汚
染米が、ライスロンダリングによって消費者の口に運ばれていくことになる。線路米だけでなく、カ
ドミウム米や被爆米といった物騒な話まで飛び出す。
 本来ならば、農水省や農協がこういった不正行為をきちんと取り締まるなりしなければならない
はずだが、この本では、農水官僚が悪質業者と癒着している実態や、農協が利益追求にばかり汲
々としている有様も明らかにされる。一部には良心的なコメ農家や卸業者がいるにしても、コメ業界
全体としては、自浄能力など望むべくもないことが分かる。
 暗澹たる思いにとらわれるが、食にまつわる深刻な問題だけに知らぬが仏という訳にはいかな
い。特に食べ盛りの子供を持つお母さん達(49期生の中にもいっぱいいるはず)は、こういう現実
があることを知っておいた方がよい。
 民主党政権は農家への個別収入保障をやるという。農村票欲しさの底意がみえみえの政策だ
が、そんなことよりも、この本で暴露されている腐敗構造にメスを入れるべきではないか。

×月×日
 ネット上に流出した文書は未見だが、警視庁公安部の機密文書流出はかなり深刻な事態のよう
だ。しかし、今回のような失態は警視庁公安部のものだけではない。同じく公安組織の一角を占め
る公安調査庁でも、過去に内部文書が大量に漏洩したことがある。
 その時に流出した文書をまとめたのが、社会批評社編集部編『公安調査庁スパイ工作集』(社会
批評社)である。「公安調査官・樋口憲一郎の工作日誌」というサブタイトルからも分かるように、樋
口という公安調査官が、情報提供者と接触して聞き込んだ話をまとめた報告書をナマ資料のまま
出版したものだ。
公安調査庁が、どのような人物を情報提供者として獲得しているのかも面白い(驚いたことに作
家の宮崎学が情報提供者として出てくる)が、それらの情報提供者と公安調査官との間で交わされ
るアングラ情報の中身はもっと面白い。どこまで信じるかは別として、アンダーグラウンドな世界で
どんな情報が飛び交っているのかが分かる。
 例えば、「『よど号』グループの動向について」と題された報告書(平成6年11月28日作成)には、
よど号グループ支援者某が語ったこととして、次のようなことが書かれている。
 某はよど号グループの帰国運動に奔走してきたが、最近になって、帰国運動そのものが北朝鮮
によって政治利用されていることに気がついた、という。北朝鮮はよど号グループを帰国させるつ
もりなどなく、帰国させるように見せかけて日本国内に支援組織をつくることが目的なのだが、こう
した内実は、グループのリーダーである田宮高麿だけが少し知っている、という。
「彼らにしてみれば、金正日[が指導者]になれば北朝鮮の扱[い]が変わるものと期待していたと
ころ、以前と全く立場に変わりがないことを知ってショックだったようだ」
「帰国が実現できる道は、北朝鮮の体制崩壊に期待するしか手がないことが分かった。そのため在
日の有力メンバーをも動かして気づかれないように金正日体制の崩壊を早めることに手を貸す戦
術をとるしかない」
 さらに某はこんな衝撃的な情報を口にしている。
「『よど号』グループの吉田金太郎は、1985年9月に北朝鮮で肝臓病で死亡した。正確にいうと肝
臓病にされて死亡した。理由は、吉田の父親が戦前『特高』に関わっていたということを北朝鮮が
知り、その子供である金太郎を不都合な人物として病死させたという。
 これと同じような話は、いま北朝鮮にいるメンバーにもあるようで、二人目が出る可能性がある。
 こういうことを『よど号』グループのメンバーはうすうす知っており、大変なストレスになっている」
 某が公安調査官にこの話をしてから一年後、田宮高麿が急死している。某が口にしていた“二人
目”とは、ひょっとすると田宮のことを指していたのかもしれない。
 怪しいのは怪しいが、一概にガセ情報とはいえないという気がしてくる。

No.265 感動しました

2010/12/28(火) 20:38 - 3-8 組 真志喜 卓 ()
真志喜です。

賢の活躍、テレビでリアルタイムに見てました。

大笑いしながらも、涙がとまりませんでした。

同期の活躍は、私の誇りです。

素晴らしかったし、今後も頑張って欲しいです。

希望をありがとう。

No.264 すごーい

2010/12/28(火) 01:18 - 我喜屋 ()
M-1すごかった~。
同級生から有名人?!が出るなんてすごーい(^^)

東京で生活するようになって16年
そろそろ沖縄が恋しいと思っていた矢先の出来事に感動していまーす!!

頑張れー

スリムクラブ!!

で49期生の皆様はお元気でお過ごしでしょうか??
今度の同窓会には出席したいなぁー♪

ではまた~(^^)/

No.263 M1GP『スリムクラブ』真栄田くん準優勝おめでとう!

2010/12/27(月) 06:12 - SH ()
M-1グランプリ

同期であるスリムクラブ真栄田くん

準優勝おめでとうございます!

(いやあれは、優勝してたよ、ホントは。だって決勝で観客の笑いが一番とれてたもん)



ぼくも東京に来て10年たちますが、

「すげーな〜」とうらやましくも

「まっさか〜」とあなどるような気持ちも

「いったれ〜!」という応援の気持ちも

色々とこみ上げ、TVの前で興奮し感動しました。



35歳という大事な?年に、本当によくやりましたね!

同じクラスになったことはありませんが、高校の体育の授業の時に

あなたの声を耳にした時は、腹を抱えて笑いころげてたのを思い出しました。

そのあなたが、今度は日本中を笑わせてるなんて、

「スゴい!スゴい!スゴい!」

と思わずTVの前で連呼してしまいましたよ。

(特に決勝のネタの『民主党』のくだりは最高でした。)

準優勝でしたが、これで全国にスリムクラブの名がとどろき

こっからさらなる活躍が楽しみですね。



今日は、酒がうまい!

あ〜、、思わずここの掲示板に書き込んでしまった。。。

改めて

M1GP『スリムクラブ』真栄田くん準優勝おめでとう!

No.262 岡本太郎、三島由紀夫、「あかつき」と惑星探査

2010/12/17(金) 09:21 - 3-8 組 M ()

×月×日
 赤坂憲雄『岡本太郎が見た日本』(岩波書店)を読み始めてみると、これが意外に面白い。
 私達の世代の人間は、ある意味では岡本太郎という人物と不幸な出会いをしている。岡本太郎と聞いて思い浮かぶのは、テレビCMでピアノを乱打しながら目を剥いて「芸術は爆発だ!」と絶叫する姿だろう。この本を読むまでは、私も岡本のことをケッタイなオジサンぐらいに思っていた。岡本が矯激なパフォーマーだったことも事実だが、この本を読めば、それは岡本という人物のごく一部分に過ぎなかったことがよく分かる。
 岡本一平・かの子夫妻の息子だということぐらいは知っていたが、岡本が、1929年から40年までフランス・パリで遊学していたこと、その時代に当代のヨーロッパの芸術家達(ピカソ)だけでなく、フランス思想界(G・バタイユ、A・ブルトン、A・コジェーブ)、民族学界(M・モース)の大立者達と交友関係、師弟関係を結んでいたことは、この本で初めて教えられた。この本で言及されている人々の名前を一瞥しただけでも分かるように、岡本はただならぬ知的バックグラウンドの持ち主だったのだ。
 この本では、独特の文体で書かれた岡本の文章があちこちで引用されている。それらの文章を読む時、岡本が民族学的な素養の持ち主であることを知っていて読むのと、知らないで読むのとでは、やはり印象がまるで違ってくる。岡本のことを「身をやつした民族学者」と評する赤坂は、「マルセル・モースに学んだ民族学者は、もうすこし虚勢を張って、いや素顔をさらして、その知性と教養をひけらかすべきであったかもしれない。太郎はあまりに控えめにすぎたのではなかったか」と嘆く。赤坂が嘆きたくなる気持ちは分かるが、ひょっとすると私達は、素顔を隠した岡本太郎にまんまと担がれていたのかもしれない。そんな気もしてくる。
 赤坂憲雄には『岡本太郎という思想』(講談社)という近著もある。こちらはさらに思索家としての岡本に焦点を当てたもので併読すると面白い。この二冊を読んで、以前から気になっていた岡本の著書『忘れられた日本―沖縄文化論』を是非読んでみよう、という思いに駆られた。
 なお、岡本が留学していた当時のフランス思想界の雰囲気を知るには、桜井哲夫が書いた『占領下パリの思想家たち』、『戦間期の思想家たち』、『戦争の世紀』(いずれも平凡社新書)がちょうどよい。

×月×日
 三島由紀夫が自決してから四十年ということで、三島の関連本が書店の店頭に並んでいる。だが、手に取ってみたくなるようなものはほとんどない。
 数年前に出版されたものだが、杉山隆男『「兵士」になれなかった三島由紀夫』(小学館)は、類書にはない視点から三島由起夫を描いた出色のドキュメントになっている。
 杉山は、二十年近く「兵士シリーズ」として知られる自衛隊ルポを書き続けてきたノンフィクション作家。その杉山がシリーズの最終巻のテーマに選んだのが、「三島由紀夫と自衛隊」だった。
 三島が自衛隊の駐屯地で割腹自決するという衝撃的な事件の後、自衛隊サイドでは三島について言及することがタブーとなってしまい、三島と自衛隊の関わりについては、一種のミッシングリングになっていた。この本では、丹念な取材によって自衛隊員達の目に映った三島の姿が浮き彫りにされていく。三島が同志と恃んでいたとおぼしき士官が、「いまの世の中、明治維新なんて流行らないですよ。とてもじゃないけど、みんな利口になっちゃってますからね。そんなこと、やめた方がいいですよ」と言い放ち、三島と喧嘩別れになったエピソードなど、印象に残る逸話がたくさんあるが、この本で面白いのは自衛官達が口々に語る三島評だ。
「この人はすごい作家だけど、弱さがあるな」「弱さというより、脆さかもしれません」(一緒に訓練を受けた元レンジャー訓練生)
「先生は自分が弱かったから、強い人間に憧れて、強い人間になりたいということで、鍛え上げたんでしょう」「あの方はずっと自分の美学に生きたという感じです。いまになってみたら、美しく死ぬための下地をつくったのかなということですかね」(レンジャー訓練の元教官)
「三島さんは、やっぱり自衛官の若手幹部が、私やBのような、にせインテリだということで、もうがっかりしたわけですよ。僕はそう見ているんですけどね」「三島由紀夫について言えば、私はもう途中で、とてもじゃないけど、こんなおじさんにはついてゆけないと思ってお別れしました。三島さんも、勘の鋭い人ですから、私みたいな、ぐうたらのことはあきらめて、さっさと行ったんじゃないかと思うんです」(元富士学校戦車教導隊中隊長代理。後に陸上幕僚長)
 年齢や自衛隊での階級、社会的出自によって、自衛官達の三島との距離感も様々だったことが分かる。
 三島事件後、旧軍出身のある幹部自衛官はこう言い残して自衛隊を去ったという。
「俺は戦前の軍隊の教育を受けて、仲間も大勢、戦地で死なせている。その我々が当時信じていたことを三島に言われ、言われただけじゃなく、行動までされてしまった。自衛隊って、いったい何だ。そうまで言われて、このまま流れに任せて、何もせず、ただ荏苒と自衛隊にいるというわけにはいかないんだ」

×月×日
 日本の探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入失敗は残念ではあったが、その少し前に、リチャード・コーフィールド『太陽系はここまでわかった』(文藝春秋)を読んでいたので、それほど驚くことはなかった。
 この本では、恒星である太陽からはじまって、水星、金星、地球…と太陽系の惑星を順繰りに取り上げながら、それぞれの惑星について、現時点で何が分かっていて、何がまだ分かっていないのかを丁寧に解説しつつ、それと並行して、これまでの宇宙探査計画の内幕が書かれている。それを読んでいると、成功例に数えられるミッションでも、薄氷を踏むような場面の連続だったのだということが分かる。
「ミッション技術者たちは宇宙船に問題が起きたことに気づいた。マリナー10号が金星へ向かうにつれ、飛行データシステムに深刻な問題が起きはじめ、技術者たちは宇宙船の電力システムに問題が生じているのかと恐れたのだ。さらにハイゲイン・アンテナ・システムの一部が故障し、水星から送られてくる画像の質が大幅に損なわれるのではないかと思われた」
「宇宙船が太陽へ近づくにつれ表面が加熱されはじめ、設計者も驚いたのだが、宇宙船が宇宙空間に粒子を撒き散らしはじめた。このような問題はそれまで起こったことがなかったが、それ以前にこれほど恒星へ接近した宇宙船はなかったのだからそれも当然だ。マリナー10号のアルミニウム被膜から蒸発した一粒の粒子が、宇宙船の向きを正しく保つのに必要な恒星追尾装置の目の前を漂った。すると宇宙船は、天空の基準点とする恒星カノープスを追尾できなくなった。宇宙船が再びカノープスを捉えるまでに二時間近くかかり、その間に宇宙船のジャイロは貴重な軌道修正燃料を大量に無駄遣いした。恒星追尾装置の前を次から次へと粒子が漂うと、同じ問題が繰り返され、ミッション技術者たちは燃料の残量を心配した」
 マリナー10号のミッションは、はじめは金星に向かって飛行し、金星の引力を利用して進路を変更(スイングバイと呼ばれる方法)した後、観測目標である水星に向かうというものだったが、その道中はこれほどのトラブル続きだったのだ。宇宙飛行というものがいかに際どいところで行われてきたかが分かる。あらゆる宇宙飛行ミッションが、続発するトラブルに臨機応変に対処し、機能停止寸前になった機材をだましだまし活用することで達成されてきたことを考えると、JAXAはこれからが腕の見せどころともいえるだろう。
 こういった宇宙探査の内幕も面白いが、この本を読んでいてびっくりさせられたのは、「木星の周辺領域からは人間を数秒で死に至らしめる量の放射線が発せられている」という一文だ。人間が数秒で死んでしまう量の放射線が渦巻く空間とは、いくら想像してみようとしても想像がつかない。しばし茫然としてしまった。
 この本を読むまでは、私には、太陽系の惑星について沈黙する星々というイメージがあった。それらの惑星についてあらかた調べがついているものと思っていた。しかし、それは全くの間違いなのだと気づかされた。太陽系の惑星の中には、木星のような荒ぶる星もあるし、まだまだ分からないこともたくさんある。

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