2008/02/19(火) 23:34 - 10 組 ベトナミンC (男)
犯人はヤギだった。10日午後5時ごろ、南城市玉城字奥武にある「もずくそばの店くんなとぅ」が営む店舗裏のアプローチゴルフ場で、利用者の財布から千円札6枚がヤギに抜き取られ、食べられるという“事件”が発生した。
長田さんは「突風で落ちたのかな」と気にしなかったが、財布を開けると「紙幣がない」。が、仲間の財布は無事だった。ほどなくして、友人が棚の下に落ちていた5千円札1枚を発見。よく見ると一口かじられた跡がある上に、唾液(だえき)でべとべとに。そして、目の前にはヤギ―。
「あいやー、食べられた」と長田さんの声に、周囲は大爆笑。盗難事件かと緊張感が漂っていただけに、一瞬で和やかな雰囲気に変わった。
ヤギは、そば屋のマスコット「そば子」(雌、1歳半)。棚には長田さんのほか、2人が財布を置いていたが、どれもファスナーで閉じるタイプ。ファスナーのない長田さんの財布だけが狙われた。食べられたのは千円札だけで、領収書などは、よだれ交じりで残っていた。
そば屋とゴルフ場のオーナーの嶺井達也さん(65)は「こんなことは初めて。紙を食べるとは聞いていたけれど」と驚いた様子。嶺井さんはおわびにと、長田さんに一升瓶の泡盛2本分(6千円相当)を飲み放題にした。
長田さんは「残った5千円札は口に合わなかったらしい。宝くじでも買おうかな」とにっこり。“事件”の話をさかなに、そば屋で仲間らとおいしい酒を酌み交わした。
(2月15日付け、琉球新報夕刊3面から抜粋)