2021/02/03(水) 18:52 - 3-8 組 増田 (男)
以前、当欄の書き込み(No.231)でスギモトチアキさんが紹介されていましたが、2008年1月にNHKが放送した「NHKスペシャル 最強ウイルス」という番組がありました。
この番組は、シミュレーション・ドラマ編と調査報道編の2つの番組から構成されていて、調査報道編では、一般の病院には防護服などの十分な装備も用意されていないことや、人工呼吸器が絶対的に不足する恐れがあることなど、日本には新型ウイルスによるパンデミックが起きた時の備えがほとんどないことが、慄然とさせられる事実に基づいて具体的に検証されていました。まさに今日の事態を予告するものでした。
ドラマ編でも、考えさせられるプロットがありました。国名は伏せていましたが、北朝鮮からの脱北者が日本に新型ウイルスを持ち込んでしまうという設定になっていたことです。日本海沿岸に漂着した木造船内の脱北者(すでに発症していて衰弱している)に食べ物を届けようとした子供が感染し、その子供から家族へ、家族から近隣住民へと感染が急速に広まってしまうのです。北朝鮮が自国での感染拡大を隠していたことと、入国管理の網にかからない脱北者がウイルスの媒介者になってしまうという二重の盲点を衝かれた形で、突如、予期せぬ場所から感染爆発が起きてしまうという展開になっていました。
新型ウイルスによるパンデミックが起きた時、日本にとって脅威になるのは国内要因だけにとどまらず、北朝鮮のような隣国の存在もまた危機の発火点になりうるという危機想定に、虚を突かれた思いがして、愕然としたことを覚えています。
コロナ・パンデミックにかこつけて、ことさらに北朝鮮への反感を煽ろうという訳ではありません。このような異常事態が起きてしまった時には、普通の感覚では予想もしなかったような出来事が起きてしまうものであり、だからこそ、「想定外を想定する」ということが必要なのだということ、さらにいえば、世に「想定外」といわれる事態は、〈想定できなかったこと〉ではなく、実はただ単に、〈想定できたはずなのに想定していなかったこと〉である場合が多いといいたいのです。
たとえば沖縄では、大型クルーズ船の来航や県内の米軍基地が感染拡大の発火点になりましたが、いまになって考えてみると、どうして誰もあの事態を予想することができなかったのかと首を傾げたくなります。
どうしても棘のある物言いになってしまいますが、知事や各首長はもとより、各地方議会の議員、各自治体の行政スタッフといった人々のなかで、あのNHKの番組を観たことがある人は一人もいなかったのかと問いただしたくなります。
こんな形で引き合いに出されてご本人は迷惑かもしれませんが、スギモトさんの書き込みを読み返してみて、せめて、県政の指導的立場にある人々が、スギモトさんと同レベルの問題意識を持っていれば、いま起きているような規模のダメージは避けられたのではないか、と思わざるを得ません。
まとまりのないことを書き綴ってしまいました。どうもすいません。