話はいろいろ弾んで、お互いに協力していこうということになったが、中でも、小生の興味を一番引いたのは、西表の小学校で、琉球和紙を使った卒業証書が毎年手渡されるということ。小生、すぐひらめいたのは、母校首里高校の染色科のこと。染め織の技術、紅型の技術で群を抜いて優れているが、琉球和紙がすたれて途絶しそうな現状をどう見ておられるか。紅型だけでなく、王府時代の紙文化の再興に力を注ぐという発想はないのかな、と、一瞬思った。多様な教務課程の中に紙漉きの要素を突っ込むのは、大変だろうとは思うが、せめて、卒業証書に琉球和紙を使って、卒業していく生徒たちに、こういう文化もあったんだよと、印象付ける仕組みはできないかなあ、と、まあ、考えたことである。それで、遥か外堀あたりから応援しようと、小生たち、まず琉球和紙に使われる原料のアルウッサを集めて、育てて、展示し、スインチュだけでも「琉球和紙」のぬくもりを保ってもらおうと考えた。早速、金嶺夫妻から「アオガンピ」と「楮(コウゾ)」の苗を寄せてもらい、大宜味村へいって、「イトバショウ」の苗を仕入れてきたのです。なお、「琉球和紙」の持ち味を豊かにする方法として、粘り気のある「ホンコンカポック」や、「アカバナー」の類もあるということで、これから、とにかく「琉球和紙」と植物の世界を広げようという計画となった。